Everscaleのマルチシグウォレット「FidoSafe」の解説と使い方
ブロックチェーン界隈でDAOという言葉が頻繁に聞かれるようになりました。DAOも組織である以上、活動資金が必要であるという制約から逃げることができません。そのため、DAOでも有効な資金管理方法を採っておくことが、DAOの活動を継続可能にします。
DAOの活動において最も有効な資金管理方法が、マルチシグウォレットを利用することです。これにより、グループの数名が署名をすると出金が承認されるという仕組みを構築することができるため、人に依存する持ち逃げリスクなどを排除することが可能となります。
Everscaleでは、Ever Surf(旧TON Surf)と呼ばれるWebウォレットがあり、既にマルチシグ機能を利用することができるようになっています。しかし、署名者が変更になるとマルチシグウォレットを再度設定し直す必要があります。DAOが組織である以上、メンバーの入れ替わりを避けることはできません。そのため、このような仕様はEverscaleのDAO運営における大きな課題でした。
そして、そのためのソリューションとして、サードパーティによるFidoSafeというスマートコントラクトウォレットが用意されています。
FidoSafeの特徴
FidoSafeは、スマートコントラクトで構築されている、柔軟なマルチシグを行うことができるウォレットです。資産の秘密鍵を第三者に引き渡すことなく、分散型の仕組みで複数人による資産管理を安全に行うことができます。
FidoSafeの主な特徴は、以下の通りです:
- 署名担当者の柔軟な変更が可能: 複数の署名担当者がすべての取引を確認しながら、組織の拡大に合わせて複数のメンバーを追加・削除することができます。
- 既存のウォレットを使用可能: すでにEver Surf(旧TON Surf)を利用している場合、FidoSafeのために追加アカウントを作成する必要がありません(Ever Surfとは、Everscaleで最も使われているウォレットです)。
- オープンソース: EverscaleのオープンソースWebマルチシグウォレットを利用することで、ビジネスレベルのセキュリティと安全性を手に入れることができます。
- プライバシー: FidoSafeは利用者のデータを収集しません。
FidoSafe利用開始の流れ
FidoSafeを利用するには、WebアプリとSurf DeBotを使用してFidoSafeのウォレットを作成し、後にリンクまたはQRコードをスキャンして操作を確認します。
- Fidosafeを作成する: 「Create a FidoSafe」のページより、アプリがQRコードを生成したら、Surfアカウントを使用してスキャンします。今後、最初のユーザーとして追加され、リンクまたはQRからトランザクションを確認できるようになります。
- 操作を選択: WebアプリでFidosafeを使用して完了したい操作を選択します。
- QRコードをスキャンするかリンクをたどる: SurfアカウントからQRコードをスキャンし、動作を確認します。
- 確認を待つ: 複数のユーザーがいる場合は、ユーザーの確認が完了するまで待ちます。確認数が必要なしきい値に達した場合は、Webアプリから操作を完了します。
また、正式に利用する前に使い勝手を試したい人のために、テストモードが用意されています。
詳細な手順
以下の記事は、GramKitのロシア語記事「 FidoSafeWebサービスの使用手順 」を日本語意訳したものです。内容に疑問がある場合、オリジナル記事をご覧ください。
リンクより、「Create」ボタンをクリックします。
次に、DeBotにつながるページが開きます。コードをスキャンして、スマートフォンのEver SurfでDeBotを開くか、リンクからWebウォレットを開きます。
DeBotが表示されたら、注意事項をが表示されます。「Continue anyway」ボタンをクリックして、次に進みます。
コントラクトへの署名が1回求められます。「Confirm」をクリックします。この操作にはGASとしてEVERを消費します。
DeBotは、コードをデプロイするためのメッセージをコントラクトに送信することを通知します。これにGASはかかりません。「Confirm」をクリックしてから、メッセージの確認方法をもう一度選択します。
取引を確認した後、DeBotからコントラクトへのリンクが送信されます。リンクをたどります。
取引ページでは、取引の状況と契約の残高を確認できます。署名者を追加するには、「Users」タブに移動します。
「Add」ボタンをクリックして、署名者の公開鍵(Public Key)を入力します。例では、2人の新しいカストディアンを追加しています。公開鍵を入力して決定を確認すると、コードまたはリンクを介してDeBotに移動するように再度求められます。
DeBotに移動し、もう一度キーまたはSurfを使用してアクションを確認し、「Confirm」をクリックします。DeBotから、追加された署名者が表示されるサービスへのリンクが送信されます。
次に「Settings」タブに移動します。ここでは、トランザクション確認の最大数を選択できます。最大数を選択することはお勧めしませんが、過半数を設定することをお勧めします。
繰り返し、DeBotに移動して、コードまたはリンクを介して確認の数を変更します。
アクションを確認するには、キーまたはSurfを使用して、「Confirm」をクリックします。結果を確認できるように、DeBotからリンクが送信されます。
次に、トランザクションを送信します。取引ページで「送信」ボタンをクリックし、受信者のアドレスとトークン数を入力して、もう一度「送信」をクリックします。
トランザクションを確認するには、DeBotに戻り、キーをもう一度入力するか、Surfを使用してトランザクションを確認します。
次に、すべてのカ署名者がトランザクションに署名するのを待ち、トランザクションの横にある三角形のアイコン(Operationsの左から3番目)をクリックして、DeBotでアクションを再度確認する必要があります。
トランザクションは、設定した数の確認を受け取り、完了します。
おめでとうございます、あなたはFidoSafeサービスの使い方を学びました!リンクをたどり、コントラクトを作成し、管理人を追加し、マルチシグで取引を行います。